ラスベガスに集結――UFCファイトナイト109開催
日本時間の8月10日、アメリカのラスベガスにて世界最大の総合格闘技団体UFC (Ultimate Fighting Championship) の興行『ファイトナイト・ラスベガス109』が開催されました。日本からは風間敏臣選手がバンタム級 (約61.2kg) の試合に出場したこともあり注目度の高かった大会ですが、オカルト好きの日曜版読者の皆さんにとっては無視出来ないだろう選手も出場していました。アンジェラ ”オーバーキル” ヒル選手です。
ベテラン女子ストロー級ファイター
アンジェラ選手は女子ストロー級 (約52.2kg) の選手で現在40歳。総合格闘技だけでも33戦のキャリアを持ち、もうベテランと言える存在です。”オーバーキル”の愛称からもわかる通り、強力なムエタイ仕込みの打撃が持ち味の選手ですが、彼女はそのキャリアの内のほとんどを「格闘技のメジャーリーグ」ともいえるUFCで過ごして来ました。
祖父は“世界初”のアブダクション事件の当事者
彼女の何がオカルトと関係があるのか？UFO好きなら既にピンと来ているでしょうが、そう、彼女はあの「ベティ＆バーニー・ヒル事件」のバーニーの孫なのです。
1961年9月、アメリカ・ニューハンプシャー州で起きた「ベティ＆バーニー・ヒル事件」は、世界で初めての宇宙人によるアブダクション（誘拐）事例とされています。夜間、車でドライブしていたヒル夫妻は、奇妙な光体に追われた記憶をきっかけに、数時間分の記憶が抜け落ちていることに気づきました。後に行われた退行催眠の結果、夫妻は「UFO内部に連れ込まれ、身体検査を受けた」という体験を思い出します。この出来事は、その後大量に報告されるエイリアン・アブダクション体験の原型となりました。
この事件はベティとバーニーが当時珍しかった白人と黒人の夫婦であったこともあり、精神分析や公民権運動とも関連づけられるなど、一筋縄では行かないものです。
事件は「家族の歴史の一部」
アンジェラはバーニーの2人目の妻だったベティとの血縁はありませんが、過去のインタビュー内でUFOに対しての強い興味と考察について話しています。アブダクション事件は「私たち家族の歴史の一部」であり「私たちにとっては常に事実で、何かが起こったと知っている」と語っており、彼女にとって事件はずっと奇異なことではなかったようです。
2022年に公開されたジョーダン・ピールの映画『NOPE』を引き合いに「まさに私の祖父の映画だわ」と語る彼女は事件について「最も興味深い点は黒人がAlien (宇宙人という意味合い以外に外国人などのことも指す) に誘拐されたこと」であり、それが「物語に新たな層を加えた」と感じているようです。
宇宙に地球人以外の生命が存在すると考えている一方で「私たちがその生命体と接触したことがあるかどうかは分からないけど、そこには何らかの現実があるはずだわ」というような発言もあり、ビリーバーでありながらUFO現象を複雑な視点でとらえているようで好感が持てます。
40歳の挑戦、そして笑顔のアクシデント
そんなアンジェラは8/9の試合でブラジルの新鋭ヤスミン・ルシンドと対戦。23歳と若く、ランキング8位のヤスミンに対し40歳でランク12位のヒルは勢いに押されてしまったか、惜しくも判定負け。なお前日の公開計量ではビキニ姿で現れたアンジェラが体重計に乗る前に重量物になる胸のパッドを取り出し、それを計量担当のおじさんに渡したところ、アワアワと慌てたおじさんがパッドをどこかにすっ飛ばすという面白アクシデントが起こりました。アンジェラは堪え切れずに笑いながらも計量をパス。カメラ目線で片方だけ残った胸パッドを戻しながら退場するお茶目な姿を見せていました。
ゲーム＆アニメ好きの異色ファイター
ゲームやアニメが好きで格闘家になる前はアニメーターをやっていたというアンジェラ。過去には試合前に『ストリートファイター』シリーズのキャラや『アフロサムライ』のコスプレ姿で入場したりと日本人にも馴染みやすい人柄です。UFCでは女子最年長である彼女ですが、まだまだ今後の活躍に期待したいところ。そういえばグレイって貧弱だし顎が弱そうだしアンジェラならアブダクションされても即撃退出来たでしょうね。頑張れ！
【参考】
UFCのアンジェラのページ
https://jp.ufc.com/athlete/angela-hill
BBCによるインタビュー
https://www.bbc.com/sport/mixed-martial-arts/67292222