ブラック・サバスのフロントマンとして1970年代初頭に登場し、ヘヴィメタルという音楽ジャンルを世界に知らしめたレジェンド、オジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)がこの世を去ったことが伝えられた。
「プリンス・オブ・ダークネス(闇の王子)」の異名を持ち、悪魔や狂気をモチーフにした数々の楽曲とパフォーマンスで時代を超えた影響を与え続けたオジー。しかし彼のもうひとつの顔、それは “UFOと宇宙” に惹かれた探求者としての姿だった。
“オジーUFO事件”──コンサート中に三角形の飛行物体が
象徴的なエピソードがある。2010年、米カリフォルニア州デボーレで開催されたOzzfestのステージ中、観客の頭上に三角形の飛行物体が出現。無音で滑空し、複数色の光を放ちながら空中でホバリングしたという。この現象はMUFON(全米UFOネットワーク)にも報告され、複数のUFO系メディアに取り上げられた。
また、2004年にイリノイ州ティンリーパークで行われた別のOzzfestの夜には、観客数百人が三つの光点が三角形を形成して飛行するUFOを目撃。この事例は後にヒストリーチャンネルの番組『UFOハンターズ』でも特集された。
これらは “オジーUFO事件” として一部のファンに語り継がれているという。
宇宙とオカルト、そしてレクイエム
オジー自身もインタビューで「宇宙には我々以外の知的生命がいる」と公言しており、リアリティ番組『オズボーンズ』では自宅での怪奇体験を笑い話として披露することもあった。彼の“異界への関心”はエンタメの一部ではなく、人生哲学に近い何かだったのかもしれない。
実際、楽曲にもそれは現れている。晩年、オジーの “宇宙への憧れ” はさらに明確な形となって現れる。2020年のソロアルバム『Ordinary Man』に収録された「Scary Little Green Men」は、そのタイトルどおり“恐ろしい緑色の小人たち”──すなわち宇宙人を主題とした楽曲である。妻でマネージャーのシャロンによれば、オジーはUFOや宇宙人の番組を一日中視聴するほどの熱中ぶりで、それが曲作りにも反映されたという。
スケール感のあるロックサウンドにのせて、「Do you believe in scary little green men?(恐ろしい緑の小人たちを信じるかい?)」と問いかけるその曲は、彼のUFO観を象徴する一曲として語り継がれるだろう。
さらに『Hellraiser』の再録MVでは宇宙人と戦うアニメ仕立ての演出を導入し、自らの“宇宙観”を視覚的に表現。2020年代のアルバムでは「死」「宇宙」「孤独」といったテーマが詩情豊かに織り込まれ、まるで彼自身が宇宙へ旅立つ準備をしていたかのような印象すら残る。
永遠の“メタルの預言者”へ
オジー・オズボーンは“ヘヴィメタルの王” だけではなかった。悪魔と神、現実と幻覚、地上と宇宙のはざまを彷徨い続けた精神の旅人だったのだ。その魂はいま、地球を離れ、銀河のどこかで新たなメロディを奏でているかもしれない。