UFO/超常現象研究のパトロン――不動産王ロバート・ビゲロー

 ロバート・ビゲロー(Robert Bigelow)は、ネバダ州ラスベガスの不動産王として財を成した実業家であり、同時にアメリカにおける超常現象研究の最大のパトロンでもある。UFOや死後の世界といったテーマに巨額の私財を投じ、民間研究機関NIDSやスキンウォーカー牧場での現地調査、国防総省との極秘契約を通じたUAP調査(BAASS/AAWSAP)など、政府と民間の橋渡し役を果たしてきた。近年では死後意識研究に軸足を移し、論文賞を創設するなど、科学とスピリチュアルの間に立つ存在として知られる。

ロバート・ビゲローとUAP・超常現象の略年表

1944年

 ネバダ州ラスベガスに生まれる。幼少期に祖父母が体験した「赤い発光体が車に接近し、音もなく急上昇して消えた」という出来事が、のちのUFO研究に傾倒する原点となった。

1988年

 長期滞在型ホテル「バジェット・スイーツ・オブ・アメリカ」で巨額の富を築き、自らの関心を満たすための「私財による超常研究インフラ」が現実のものとなる。

1995年

 民間研究機関「国立発見科学研究所(NIDS)」を設立。警察官や科学者、元FBI捜査官らを集め、UFO、家畜切断、ポルターガイスト現象などを本格調査。

1996年

 ユタ州ユインタ盆地のスキンウォーカー牧場を購入。牧場では、巨大な狼、出現しては消える発光体、ポータルのような空間歪曲現象などが報告されており、NIDSの拠点として監視装置を設置。研究員が常駐し、超常現象の実地記録に挑むも、決定的証拠には乏しく、調査は困難を極めた。

2004年

 NIDSを活動休止。科学的証明の限界と向き合うことに。

2008年

 宇宙企業ビゲロー・エアロスペースの傘下に「BAASS(先進宇宙研究部門)」を設立。米国防情報局(DIA)との間でAAWSAP(先進航空宇宙兵器システム応募プログラム)の契約を獲得し、2200万ドルの予算でUAPの軍事的脅威分析に乗り出す。研究内容には、スキンウォーカー牧場での怪現象も含まれ、UFO・超常・物理学が交差する前代未聞の国家プロジェクトとなる。

2009年

 UFO調査団体MUFONと提携し、重大事件に即応する「スターティーム・インパクト」計画を支援。FAAの内部マニュアルには、航空機によるUFO目撃時の報告先として「ビゲロー社」が明記されていた。

2012年

 AAWSAPは契約満了で終了。BAASSによる政府契約は幕を下ろす。牧場調査もこの頃終息。

2017年

 TV番組『60 Minutes』で「異星人は地球を訪れている」と断言。国防総省によるUFO研究が実在したことが報じられ、彼の関与が再注目される。

2020年

 死後意識研究団体「BICS」を設立。亡き妻の死をきっかけに「意識は死後も存続するか」というテーマへと関心を広げ、論文賞を通じて研究を支援。

現在

 UFO、意識、死後世界といった“境界領域”を追う民間支援者として、今なお多大な影響力を持つ。

ビゲロー・エアロスペース社の社長ロバート・ビゲローが、2011年2月4日金曜日、NASA副長官ローリー・ガーバーと共にビゲロー・エアロスペースの施設を視察した直後に行われた記者会見で話す様子。NASAは、今後の宇宙開発において米国が競争力を維持するための革新的技術開発の一環として、ビゲロー社の膨張式居住モジュール技術とのパートナーシップの可能性について協議している. (写真提供: NASA/Bill Ingalls)

BAASSによるUAP調査文書が流出

 最近、情報公開法(FOIA)の適用対象外とされてきたビゲロー・エアロスペース社の内部資料――特にBAASS(Bigelow Aerospace Advanced Space Studies)によるUAP調査文書が、関係者によるリークというかたちで一部明らかになった

 この資料は、2008年から2012年にかけて国防情報局(DIA)からAAWSAP予算を受けて作成されたものと見られており、特に2004年のチクタクUFO(Tic Tac)遭遇事件について、BAASS独自の視点から分析を加えた内容が含まれている。文書には、物体の飛行特性、動力源に関する仮説、目撃証言の信頼性評価、さらには「心的外傷」や「空間認識の変容」といった人的影響にまで踏み込んだ考察が見られた。

 このような文書はこれまで「民間企業の所有物」として政府の情報公開義務から除外されていたが、今回の流出により、BAASSが実際にどのような深度でUAP現象を調査していたか、その一端がうかがえる格好となった。そして、この出来事は、ビゲローが担った「政府と超常研究の接合点」としての役割を、あらためて世に知らしめるものとなっている。

 

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