ソビエト異次元UFOウェイブ1989――空飛ぶ透明棺桶/森に現れた巨大キノコ/湖に立つ謎の棒状物体/割れた球体と赤い服の女/球体に浮かんだ女性の顔/シベリア石化事件

 1989年9月27日、旧ソ連時代のロシア南西部。公園でサッカーをしていた数名の子どもたちが、空から降りてくる赤い球体を目撃した。やがてそれは地面に着陸し、中から現れたのは首のない三つ目の巨人(身長3メートル)と、立方体のロボットだった。――これが、ロシア最大のUFO事件として知られる「ヴォロネジ事件」である。

 後に間接的な目撃者を含め40人以上が証言し、タス通信を通じて世界へ報じられた。しかし正確な経緯を追おうとすると、資料ごとに細部が食い違い、どれが真実なのかは今も判然としない。あまりにも奇妙な出来事だったがゆえに、人々が理解できる形に語り直す過程で混乱が生じたのだろう。

1989年ソ連を覆った「UFOウェイブ」

 三つ目の巨人とロボットが暴れまわるヴォロネジ事件ばかりが注目されがちだが、実際には同年9月21日にも同様の着陸事件が起きていた。さらにさかのぼれば、1989年の初めからロシア各地でUFOにまつわる怪現象が相次いでいたのである。

 その一例が、ペルミ州モリョーブカ村を中心とする「モリョーブカの三角地帯」だ。1983年に雪原で巨大な円形痕が見つかったことをきっかけに注目されたこの地域では、1989年に入ると異常現象の報告が急増した。9月末にかけて、ロシア全土で断続的に怪事件が続発していたのだ。ヴォロネジ事件は、その大きな波の一部にすぎない。

 さて、これから紹介するのは、そんな「ソビエト異次元UFOウェイブ1989」を形づくった、あまり知られていない断片たちである。ヴォロネジ事件が「ハイ・ストレンジネス(極めて奇妙な事件)」に分類されるなら、これらもまた同じ枠に入る出来事だ。UFO研究家ジョン・A・キールの言葉を借りるなら――1989年のロシアは、さまざまな怪異が集中して現れる「窓(ウィンドウ)」だったのかもしれない。

 なお、本稿で取り上げる以下6つの事件は、今後順次追加・公開していく予定である。

#1 空飛ぶ透明棺桶
#2 森に現れた巨大キノコ
#3 湖に立つ謎の棒状物体
#4 割れた球体と赤い服の女
#5 球体に浮かんだ女性の顔
#6 シベリア石化事件