
#5 球体に浮かんだ女性の顔
住宅街上空に停滞する球体は、その中心に女性の顔を映し出していた
1989年6月17日、真夜中のペシャン通り。教師のヴェラ・ミロノヴァは、自宅で静かに過ごしていたところ、隣人ミハイル・クデリンとその妻ナデジダの叫び声に驚いて飛び出した。外に出ると、500メートルほど先、地上約20メートルの高さを、直径約5メートルの明るい黄色い球体がゆっくりと道路沿いに移動しているのが見えた。
球体に現れた不思議な女性
彼らがその球体を見上げて呆然としていると、さらに奇妙な光景が現れた。球体の中央に、40〜50歳ほどに見える穏やかで生き生きとした女性の顔が浮かび上がったのだ。その表情は優しく、まるでじっとこちらを見て微笑んでいるかのようだった。顔は約3分ほど浮かんでいたが、やがて静かに消え去った。球体自体は形をわずかに変えながら、同じ方向へゆっくりと動き続けた。まるで意思をもっているかのような挙動だった。
変化する球体と映し出される映像
すると突然、球体はグレーの帯で二つに割れ、下方にサーチライトのような強烈な光を放った。さらに驚くべきことに、球体は続けて映像を次々と投影し始めた。潜水艦の姿、砲身のない戦車の映像──まるでスクリーンのように鮮明なシーンが浮かび上がり、三人はただ唖然とそれを見つめるしかなかった。
やがて、すべての光景は突然消え、球体も忽然と姿を消した。そこに残されたのは、夜の静けさだけだった。何が起きたのか、当夜の三人には説明のしようがなかった。
#1 空飛ぶ透明棺桶
#2 森に現れた巨大キノコ
#3 湖に立つ謎の棒状物体
#4 割れた球体と赤い服の女
#5 球体に浮かんだ女性の顔
#6 シベリア石化事件