政府の“黒い金庫”──The Black Vault

By日曜版 編集部

2025年7月15日

 The Black Vaultは、米国政府の機密解除文書をオンラインで公開し続ける世界最大級の民間アーカイブだ。運営者はカリフォルニア在住のジャーナリスト、ジョン・グリーニーワルド Jr.。10代の頃からFOIA(情報自由法)請求に取りつかれた彼が1996年に開設し、今やUFO研究者から主流メディアまでが一次資料を求めてアクセスする“情報の交差点”となっている。

「The Black Vault」

https://www.theblackvault.com/documentarchive/

 きっかけは、15歳のグリーニーワルドがイラン上空でのUFO遭遇報告を目にし、「本物の公文書を直接集めよう」と郵送でFOIA請求を始めたことだった。その成果を「一ページずつ政府の秘密を暴く」というサイトのモットーとともに公開し続け、四半世紀以上が過ぎた今も更新は止まらない。

 アーカイブの規模は年々拡大し、2025年7月時点で累計3,583,257ページに到達。UFO/UAPやMK-Ultraのような超常・陰謀テーマのみならず、9.11関連、パンデミック対策、核兵器事故まで幅広く網羅する。月間ユニークユーザーは30万人超、ダウンロード総量は約10テラバイトに達するという数字が、同サイトの“公共図書館”としての役割を物語る。

 公開された文書はPopular MechanicsやVICE、CNETなど多数の報道で引用され、情報源としての信頼性と影響力は折り紙付きだ。グリーニーワルド自身もポッドキャストや書籍を通じて解説を行い、「政府の一次資料を誰でも読める形で提示する」という立場を貫くことで、ウィキリークス型の“リーク”とは一線を画してきた。

 UFOをめぐる現代の知的探検において、The Black Vaultは“神話”と“証拠”をつなぐインフラだ。今後も“黒い金庫”の引き出しを開けるたびに、新たな物語が現実世界へとにじみ出てくるのだろう。

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