(視聴料が高いので損をしないためにも)話題のUFO映画『エイジ・オブ・ディスクロージャー』の予習をしておこう!!

 近年のUAP/UFOを巡る動きは目まぐるしく、なかなか追いつけない――そんな空気が漂うなか登場したのが、映画 『エイジ・オブ・ディスクロージャー(The Age of Disclosure)』である。

 作品の中心にあるのは、「何十年にもわたり、政府は地球外知的生命体や未知技術に関する真実を隠してきた」という長い間UFOコミュニティーで訴えられていた主張だ。そして、その〈開示〉を求めて立ち上がる元政府職員・軍人たちの証言。監督は ダン・ファラー。聞き慣れない名前だが、『レディ・プレイヤー1』の製作陣にも名を連ねた人物だそうである。

 本作は 2025年3月9日に SXSW で初上映され、11月21日から Amazon Prime(以下アマプラ)でも視聴可能となった。が、ここで問題がある。レンタル価格が最低 3,075円。 高いのだ。何かと物入りとなる年末、これは迂闊にポチるわけにはいかない。しかも、聞こえてくる評判はどうにも芳しくない。それゆえ筆者も慎重になり、現在は「予習」&「品定め」段階である。

概要と基本情報

 映画『エイジ・オブ・ディスクロージャー』は、UFO/UAP 分野で近年台頭している「ディスクロージャー(開示)運動」を正面から描いた野心作だ。

 最大の特徴は、元ペンタゴン職員、情報機関関係者、軍パイロット、科学者、政治家など 30名以上の証言者を一挙に登場させていること。いわゆる「ガチに政府の中枢を経験した人たち」の錚々たる名前が並んでいる。

 また、映画の構成は「開示の歴史」→「政府の秘密プログラム」→「テクノロジーの本質」→「国家安全保障」へと段階的に迫るつくりになっているらしく、特に、核施設上空で観測される UAP の存在や、墜落/回収とされるプログラムへの言及が多いとのことで、これらは議会証言との連動を強く意識した内容なのだろう。

背景・文脈

 本作が制作された背景には、アメリカで過熱する「UAP政治」がある。

超党派議員グループによって議会のスペースで上映された映画『エイジ・オブ・ディスクロージャー』(出典:The New York Times

 2020年代に入ってから、米議会で複数の軍人・元情報機関職員が証言台に立ち、UAPプログラムの存在や「非人型の存在を回収している可能性」などを語ってきたことは、本サイトでも繰り返し語ってきた。2023〜2024年の議会ヒアリングで話題になった デヴィッド・グラッシュの衝撃発言を覚えている読者も多いだろう。

 そうした混沌のなか、科学、国家安全保障、陰謀論、そして告発者の〈信憑性〉が複雑に絡み合い、「何が本当なのか」がどんどん見えにくくなってきている。その空白を埋めようとするのが、この映画の使命ということなのだろう。

(Skeptic「The Aliens are Here (Again)! A Review of The Age of Disclosure」)

この映画に登場する主要人物

映画には、UFO界の“顔”ともいえる人物が勢揃いしている。
ざっくり分類しつつ紹介しよう。

◆ 元政府職員・情報機関・軍関係者

ルイス・エリゾンド(Luis Elizondo)
元国防総省 AATIP プログラム責任者。近年のディスクロージャー運動の中核。

ジェイ・ストラットン(Jay Stratton)
UAPタスクフォースの初代ディレクター。政府内で最も長くUAP調査に関与した人物の一人。

スーザン・ゴフ(Susan Gough)
国防総省広報。UAPを巡る情報発信の“窓口”としてしばしば登場。

クリストファー・メロン(Christopher Mellon)
元国防次官補。Nimitz事件の映像公開の立役者として有名。TTSAとも関わる。

ライアン・グレイブス(Ryan Graves)
元海軍パイロット。自機の周囲に毎日のように謎物体が出現したと証言した第一人者。

デヴィッド・フレイヴァー(David Fravor)
「2004年 Nimitz事件」のオブザーバーとして伝説的な存在。

トム・ディロング(Tom DeLonge)
元 blink-182。To The Stars Academy 共同創設者としてUAP開示活動の要。

◆ 科学者・研究者

ギャリー・ノーラン(Garry Nolan)
スタンフォード大学教授。生体影響研究や“物質分析”の言及で注目を浴びる。

ジャック・ヴァレー(Jacques Vallée)
UFO研究の重鎮。現象を単純な「宇宙人」ではなく、インテリジェンスとして捉える思想の祖。

スティーブン・グリア(Steven Greer)
いわずと知れたディスクロージャー運動の古参。物議を醸す人物でもある。

◆ 議員・政治関係者

マルコ・ルビオ(Marco Rubio)
上院議員。国家安全保障上の問題として UAP を積極的に議会に押し上げた張本人。

ティム・バーシェット(Tim Burchett)
強硬な“開示派”として知られる下院議員。

◆ その他の証言者・専門家

ショーン・カークパトリック(Sean Kirkpatrick)
元 AARO 所長。本作でどのように扱われているかは、鑑賞後の重要なチェックポイント。

デビッド・グラッシュ(David Grusch)
2023年の爆弾証言で世界を騒がせた元情報機関職員。映画の中でもキーマン。

(※ NewsNation「Who’s Who in ‘The Age of Disclosure’」を元に再構成。実際にはさらに多くの専門家が出演している。)

日本のUFO/UAPファンこそ観るべき映画!?

 そして先に書いてあるように、SNSなどから聞こえてくる評判はどうにも芳しくない。

 しかし一方、懐疑論者からも反応がある。アメリカの代表的懐疑主義者マイケル・シャーマーは自身のメディア「素材の多くが既視感のあるものだ」と一刀両断したうえで、しかし「これまでの UFOドキュメンタリーのなかでは最も質が高い」と述べている。

 もちろん、その後はケチョンケチョンなので、褒めているのかけなしているのかよくわからないが、とりあえず「まったくの駄作」ではないらしい。これは裏を返せば、これまで断片的に語られてきた「開示のストーリー」を、一気に整理して見られる作品であるということだろう。

 つまり――

・UFO/UAP にそこまで詳しくない

・でもアメリカの議会証言や告発の「今」は知りたい

・SNS断片情報ではなく、一本の流れとして基礎を理解したい

 という人にとっては、おそらくうってつけなのだ。

 シャーマーはさらに、「UFO/UAP に馴染みのない人は観る価値がある」と勧めている。日本のように、アメリカ発の UAP 論争を日常的に追いきれない地域では、むしろ格好の導入編になるのかもしれない。その意味では、UFO/UAPの喧騒をどこか遠くに聞いているような日本に住む私たちこそ、本作から恩恵を受けられるのかもしれない。

とはいえ……視聴料3,075円は高い

 やはりこの価格設定は悩ましい。

 本作はいわゆる「映画館レベル」の編集で、独立系制作とはいえかなり手がかかっているらしい。だが、レビューを見る限り、満場一致で「名作!」とは言いがたいようだ。

 しかし、本作は 「UAP騒動を2020年代を総括する資料」 として観る価値はあるのではないだろうか……。


 さあ、誰が最初に観る!?さあさあ