突然現れたチクタクの「フライト・マニュアル」
2004年に米海軍ニミッツ空母の戦闘機が遭遇したUAP通称「チクタク」は、2017年に「FLIR1」として、撮影された赤外線カメラの映像が一般に公開され、大きな反響をもたらし、現在の米国防総省「AARO(全領域異常解決室)」発足のきっかけにもなった。
そのチクタクのフライト・マニュアルらしき文書が、XやReddit上で突如として拡散され話題になっている。文書には「CL-957 GEN 2」という型番と、ロッキード・マーチン社やCIAの名が並び、いかにも機密資料のように見える。この文書が本物だったら「UAP=秘密兵器説」が一気に現実味を帯びてくる。

信憑性に疑いの声
しかし、その信憑性には強い疑問が投げかけられている。実際の機密文書と比べると体裁や書式が異なり、CIAの分類方法とも整合性がない。さらに情報公開請求(FOIA)のアーカイブやCIAのデータベースにも該当する記録は一切存在せず、むしろ悪戯目的の捏造資料ではないかとの見方が有力だ。
さらには、この文書の表紙に使われているチクタクが、ネットで販売されている3Dデータと言い逃れできないくらいに、そっくりなのだ。
ロス・コーサートが示した仮説
この文書の登場は突然だったが「チクタク=ロッキード製」という説自体は、以前からロス・コーサート(Ross Coulthart)が唱えてきたものだ。彼はオーストラリア出身で、長年にわたり政府や諜報機関の闇を追い続けるジャーナリストで、 2021年に著書『In Plain Sight』を出版してからは、UFO/UAP問題に注目している人物である。
コーサートは「チクタク型クラフトは米国の一部機関、特にロッキード・マーチンのような防衛産業との関わりがある」可能性を示唆している。何の根拠もなく口にしているとは考えにくく、彼自身が独自に入手した証言や資料に基づいていると見られる。
「チクタクはロッキード製だ」という説を実際に語った動画がこちら。コーサート氏は番組内で断言に近い言葉を使っている。
この中でコーサート氏は、「チクタクはロッキード・マーチンによって開発された技術である」と明言し、さらに「神経的・サイオニックな操作が関わっている可能性さえある」と踏み込んだ見解を示している。ただし、具体的な証拠は示されておらず、あくまで取材で得た情報源に基づく強い確信の表明にとどまっている。
ネットに仕掛けられる“幻の資料”
今回のマニュアル騒動も、コーサートの主張を裏付けるものという文脈で受け止められやすい。しかし実態は、Redditなどにアカウントを作り、短時間だけ “禍々しい” UFO文書を投稿して、拡散を始めた頃にアカウントごと削除するというイタズラの一環にすぎない可能性が高い。こうした “疑似リーク” は近年頻発しており、SNSで一瞬だけ目にした人が他メディアに拡散し、やがて「真偽不明の機密資料」として話題になってしまうのだ。
結論──本物か、イタズラか
「CL-957 GEN 2」なる機体の存在は、今のところ裏付けはなく、マニュアル画像も偽造の可能性が極めて高い。とはいえ、コーサートが語る「チクタク=ロッキード製」の主張そのものは、完全な空想と片付けるには早計かもしれない。彼の背後には、まだ明かされていない情報源が存在しているのだろうか…。