ライトパターソン空軍基地を襲った“謎のドローン編隊”──FOIA公開資料が浮かび上がらせた新たな脅威

基地の緊急閉鎖の裏で何が起こったのか

 「ロズウェルの残骸が眠る“ハンガー18”」。そんな都市伝説で知られる米オハイオ州ライトパターソン空軍基地(WPAFB)が、2024年12月に空域を一時閉鎖する緊急事態に追い込まれていた──。ブラックバグト(The Black Vault)が7月11日に公開したFOIA(情報自由法)開示資料と映像から、その全容が明らかになった。

発端:深夜のホバリング機影

 最初の異常は12月13日22時08分、貨物エリア近くを巡回中の警備隊が「黒色・四枚プロペラ・直径15 cmほどの機体が赤と緑のライトを交互に点滅させながらホバリングしている」と報告したことに始まる。やがて機体は消防署上空を高度約6 mで通過し、続けて「赤緑の灯火を付けた4機がひし形を組んで急上昇した」との目撃が続出。22時30分、管制塔は基地上空を全面クローズし、警備隊と熱源探知装置を総動員してエリアA・Bの一斉捜索が開始された。

再来:二度目の侵入

 捜索は40分後にいったん終結したが、3日後の12月16日21時38分、基地周辺で犬を散歩していた市民が「複数のドローンがゆっくり飛んでいる」と通報。博物館付近からゲート26A、そして滑走路直上へと移動する発光体が次々に確認され、23時43分には「着陸態勢をとり一瞬で上昇し消えた機体」まで記録された。最終的に視認が途絶えたのは翌0時30分、警戒解除は1時だった。

FOIA文書が語るディテール

 今回のFOIA公開には、警備員の宣誓供述、無線ログ、夜間映像クリップのほか、全65ページに及ぶ事件報告書が含まれる。映像では、低空を漂う光点や隊列飛行する点滅灯が確認でき、文書に添えられた「無許可機」との記載が軍の緊張感を裏付ける。なお、これら一次資料のPDFパッケージはThe Black Vaultの同記事ページからダウンロード可能だ。

UFO神話と安全保障のはざまで全米に拡がるドローン騒動

 同時期の2024年末にはニュージャージーやニューヨークでも大規模なドローン目撃が相次ぎ、パンテックス核施設などでも“謎の群飛行”が報告された。米メディアは「軍事拠点を狙った広域ドローン作戦の兆候」と警鐘を鳴らしているが、操縦主体は依然不明のままだ。

 ライトパターソン空軍基地はかつて米空軍のUFO調査計画「プロジェクト・ブルーブック」の拠点となり、“墜落UFO”が保管されているとの噂が絶えない聖地。そこに正体不明の編隊が二夜続けて侵入し、空域閉鎖にまで発展した事実は、超常現象ファンの視点から見れば、「Hangar 18の秘密を探るために送り込まれた“無人探査機”」という想像も誘う事件だが、実際にはサイバー攻撃や諜報活動の新フェーズを示唆する現実的な脅威でもある。最新の軍事技術と“空飛ぶ謎”が交錯した今回のインシデントは、UFO神話をアップデートしながら、安全保障の議論をも突き動かしている。

 日曜版はこの事件の続報を追い、読者と共にその行方を見届けたい。

政府の“黒い金庫”──The Black Vault

 The Black Vaultは、米国政府の機密解除文書をオンラインで公開し続ける世界最大級の民間アーカイブだ。運営者はカリフォルニア在住のジャーナリスト、ジョン・グリーニーワルド Jr.。10代の頃からFOIA(情報自由法)請求に取りつかれた彼が1996年に開設し、今やUFO研究者から主流メディアまでが一次資料を求めてアクセスする“情報の交差点”となっている。

(参考元記事)

BLACK VAULT 「Air Force Confirms Drone Swarms Over Wright-Patterson AFB Led to Airspace Shutdown; Videos and Reports Released」